(*゚ー゚)は真紅の弾丸と呼ばれるようです


376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:07:48.19 ID:lNZyOLS70

酒浸りだった父が肝硬変で亡くなった。

焼酎は消毒薬。

それが口癖の父だったから仕方が無い。

まだ私が幼い頃に妻を亡くした父は、

拠り所となるものが必要だったのだろう。

それが私でなかったのは、親子として悲しかった。

頼りない父の面倒を見ることに人生の多くを費やしてきたのに。


そして、父を亡くすと同時に、私は人生の目標を失ってしまった。


377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:08:56.07 ID:lNZyOLS70

父を亡くして数年後、二十歳の初夏。

私はパートタイマーとして生計を立てていた。

父が営んでいた商店は私が継ぐには荷が重かった。

尤も、最後は店として成り立ってすらなかったのだが。


独りでの生活は、それほど厳しくも無かった。

しかし、私には楽しみと呼べるものが皆無だったので、

勤めては貯金し、退職しては食い潰し、また次の勤め先を探す。

その繰り返しだった。





379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:10:37.55 ID:lNZyOLS70

父の遺品も、値が付きそうなものは売り払ってしまった。

残しておくのが辛かったという理由もある。


そして、この度、遺品の中でも一際大きいものを売りに出すことにした。

真っ赤なバイクだ、それも大型の。

昔の父は、よく母を後ろに乗せて走っていたらしい。

母がまだ、妻でなく、彼女だった頃からだそうだ。


私も乗せてもらったことが幾度かあった。

その時は、余りの速度に怖がり、父にしがみ付くので精一杯だった。

父の背中といえば、その時のことを思い出す。

幼い私は、その時の父を頼りがいがあると感じていた。


私は父に立ち直って欲しかったのだろう。

適わない願いだったけれど。




 
381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:12:04.33 ID:lNZyOLS70

父のバイクには私と父と母の思い出が残されている。

しかし、一度手放すと決めたら、行動は早かった。

私は買い取りも行っている二輪車販売店にバイクを引いていった。

そこで、問題が起こった。

(*;゚ -゚)「買い取れないって、どういうことなんですか?」

(,,゚Д゚)「無理なもんは、無理なんだぜ」

若い男の店員は持ち込まれたバイクの状態を確認をすると、

私に、このバイクの所持者に付いて尋ねた。

そして、私が父のことを話すと、買い取れないと言い出したのだ。

(*;゚ -゚)「状態が悪いんですか?」

そのバイクは長い間ほったらかしにされていたものだ。

悪くなっていても仕方が無いかもしれない。

(,,゚Д゚)「いや、そうじゃねぇ」

聞けば、買い取れないのは思い出のある品だからだそうだ。



 
384 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:13:20.38 ID:lNZyOLS70

乗らないバイクの車検も馬鹿らしいと言えば。

(,,゚Д゚)「乗ればいいじゃねぇか」

バイトで使った中免しかない旨を告げると。

(,,゚Д゚)「ばれやしねぇよ」

何だこいつ。 無責任だ。 本当にバイク屋か?

仕方無しに生活に困っていると言えば。

(,,゚Д゚)「じゃあ、この店でバイトしろ」

というのだ。 いやです。 働きたくないでござる。

(,,゚Д゚)「バイクのレースに参加したりもするんだぜ、この店は」

聞いてないですね。

(,,゚Д゚)「良いから乗ってみろって」

(,,゚Д゚)「一週間、時間をくれてやるから」

そして、その後も彼は私に対して乗ってみろの一点張りで、

不本意ながら、私は店を後にするしかなかったのだ。




 
386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:14:48.19 ID:lNZyOLS70
帰りしなに私はバイクにガソリンを入れて来た。

今日乗る分だったので、少しで十分だった。

(*゚ー゚)「乗ってみたけど、つまんなかったです!」

と言えば、買い取らざるを得ないだろうと踏んだのだ。


(*゚ -゚)「こんなものよね」

母の使っていた赤いヘルメットを被り、初めて大型二輪を走らせた。

しかし、矢張りと言うべきか、さして良くも無かった。

バイトで中型に乗ったこともあるので、感動など無かった。

受ける風も、掛かる加速度も、経験済みだ。


思えば、免許を取り、中型に乗り始めた切欠も、

昔の勤め先で配達をした方が割が良いというだけのことだ。

だから、初めて中型に乗った時も無感動に終わった。

 だが、意外にも大型を乗りこなせるという事実にだけは、やや驚いた。

中型の経験と、バイク乗りの血を引いているからだろうか。




388 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:16:50.60 ID:lNZyOLS70

走行していると、懐かしい道に出くわした。

かつて、父と相乗りで走った道だ。

広く、長い、峠に差し掛かる道だった。

しかし、感慨深いとも思わず、ただ昔と変わらない道だった。

暫く、乗り回していると日が沈みかけてきていた。

少し休んでから、道を折り返して街へ戻ろうと考えた。

そして、適当な路肩にバイクを止めて一休みしていると、

奇妙なものと出合った。


それは、怪我を負ったシマリスだった。


私が寄り掛かるガードレールに、ちょこんと乗っていたのだ。

(*゚ー゚)「まぁ、かわいい」

野生のリスだろうか。

しかし、ここまで人の近くまで寄ってくるなんて、

少々慣れ過ぎな感がしないでもなかった。


390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:17:54.01 ID:lNZyOLS70



(*゚∀゚)「おい、お前、この野郎!」


(*;゚ -゚)「しゃ、しゃべった!」


しゃべる奴だった。

シマリスはしゃべる奴だった。





394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:20:19.94 ID:lNZyOLS70

(*゚∀゚)「単車乗りめ、今日と言う今日は許さんさ!」

(*;゚ -゚)「初対面なんですけど?」

(*゚∀゚)「お前らの騒音の所為で、私は木から落っこちたんさ!」

(*;゚ -゚)「何ていうドジな子・・・」

(*゚∀゚)「今だって瀕死の重態なんさ!」

(*;゚ -゚)「とても、そうは見えません」



私はシマリスに誤解だという事情を話した。

(*゚∀゚)「悪かったんさ!」

案外、物分りの良い奴だった。





396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:22:45.80 ID:lNZyOLS70

(*゚ -゚)「でも、どういうことなのかしら?」

(*゚∀゚)「何がなんさ」

(*゚ -゚)「あなたの言う、マナーの悪そうな単車乗りよ」

私はシマリスの事情にも耳を傾けることにした。

(*゚∀゚)「最近、単車乗り達がちょくちょくやってきて」

(*゚∀゚)「夜な夜な走ってるんさ」

(*゚∀゚)「眠れなくて良い迷惑なんさ」

シマリスが件の連中から盗み聞きした内容によると、

ここ辺りの道は警察の目の届かない穴場らしい。

(*゚∀゚)「だとしても、私らに迷惑なんさ!」

連夜の走行会に堪忍袋の緒が切れたので、

シマリスは文句を言いに行こうとしていたらしい。

(*゚∀゚)「そこで、ちょっと人違いが起きたんさ」

(*゚ -゚)「いいんですけどね」




 
400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:24:17.33 ID:lNZyOLS70

(*゚ -゚)「じゃあ、ちょっと私が文句言ってきてあげるわ」

私は、その単車乗りたちに父との思い出の道を汚されたような気がした。

先はどうでもいい道と思ったのだけれど。

柄にも無く、私は怒ったのかもしれない。

(*゚∀゚)「やったー、なんさ! お願いするんさ」

シマリスは私の言葉を聞くと、私の羽織るジャケットのポケットに収まった。

(*゚ -゚)「でも、あなたは口も顔も出さないで頂戴ね」

(*゚∀゚)「何でなんさ? 一言でも文句を言いたいんさ!」

(*゚ -゚)「話がややこしくなるからよ」

一般的な人間は、私のようにしゃべるシマリスを受け入れられない。

私は長い間の適当な生活で、殆どのことに無感動、無関心になっていた。

しゃべるシマリスすら認める程とは思っていなかったが。


何とか、シマリスと話をつけ、私は単車乗りの溜り場に案内された。



402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:26:40.95 ID:lNZyOLS70

(*゚ -゚)「という訳で、ここでの走行会は今夜で中止しなさい」

到着して直ぐに、この道を使う人達が困っているという内容で注意をした。

爪゚ー゚)「何だおめぇ、コラァ!」

( `ー´)「中止とか、嫌に決まってんだろ、ドルァ!」

(十)「舐めんな、ボルァ!」

( ^Д^)「ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねーぜ!」

爪;゚ー゚)「ちょっと可愛い、だと?」

(;`ー´)「確かにあの娘、可愛いけど、お前・・・」

(;^Д^)「な、何勘違いしてんだよ! 全然違げーよ!」

走行会の連中は阿呆の集団だった。

威勢の良いセリフだったけれど、阿呆だった。

(*゚ -゚)「止めないんだったら、警察行きますよ」

警察の見回りがあれば、この一帯で彼らが走る意味は無くなる。

制限速度で走るしかなくなる訳だし、集会を見たら解散を促されるだろう。




405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:29:00.31 ID:lNZyOLS70

(;`ー´)「なっ、なんだとぉーっ!」

爪;゚ー゚)「そ、そんなことされたら・・・」

(;十)「俺達の穴場的スポットが、穴場的スポットじゃなくなっちまうぜ!」

動揺しているようだ、最後に一言だけ。

(*゚ -゚)「見つかったら免許剥奪もあるんじゃないかしら? 最近、乗り手に厳しいわよ」

まずないだろうけど、抑止力にはなる。

爪;゚ー゚)「くそう、このアマ!」

(;`ー´)「酷いこといいやがるぜ!」

(;^Д^)「か、可愛い顔して、鬼だ!」

(;十)「お前、やっぱり・・・」

(;^Д^)「ば、ばっきゃろー! 違わーい!」

(*゚ -゚)「これからは別な場所で走ることね」

さらりと言い残して、私は跨っていたバイクを吹かした。




407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:31:51.84 ID:lNZyOLS70

('A`)「待ちなっ!」

私が走り去ろうとした時、阿呆な集団の後ろから一人の男がやってきた。

爪;゚ー゚)「ド、ドクオさん!」

(;`ー´)「ちょっと、大変なんすよ!」

男は集団の統率者らしかった。

('A`)「話は聞かせてもらったぜ」

(*゚ -゚)「そりゃあ、話しましたからね」

('A`)「俺とバイクで勝負しろ!」

なんだ、こいつ。 暑苦しい。

('A`)「お前が勝ったら、俺達はここを立ち退き、二度と来ない」

('A`)「だが、俺が勝ったら、お前は俺達に金輪際関わるな!」

頭の悪い男だ。

(*゚ -゚)「あのねぇ」

私は彼らに一言文句を言いたかっただけで、実際は警察への相談で解決する問題だったのだ。

勝負を受ける理由なんて全く以ってない。


410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:33:41.09 ID:lNZyOLS70
(*゚∀゚)「やってやるんさぁっ!!」

ジャケットのポケットから、声がした。
私は一瞬だけ、(*゚ q゚) ←こんな表情になってしまった。

('A`)「よおし、いい度胸だ!」

(*;゚ -゚)「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」

( `ー´)「ヒャッハー、怖気付いたのかあ?」
(十)「イエーイ、でも、取り消しは出来ないぜ!」
爪゚ー゚)「はっはぁっ、残念だったなぁ!」

うるせぇ、阿呆共。

('A`)「勝負はこの峠道を登り、さらに下って・・・」

('A`)「この場所に先に到着した方の勝ちだ!」

勝手に決めるな。

( `ー´)「ドクオさん!」
爪゚ー゚)「俺ら、一足先に走ってって、折り返しの判定しますね!」

阿呆集団は、言うと直ぐにバイクで走り去っていった。

(*゚ -゚)「面倒なことになったなぁ・・・」

バイクの手元を見て、私は憂鬱な気分になった


414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:36:26.43 ID:lNZyOLS70

(*゚ -゚)「ちょっと、あんたの所為で変なことになったでしょ」

スタート位置に付いた私は周囲に聞こえないようにポケットのシマリスに言った。

(*;゚∀゚)「スマンなんさ・・・ ちょっと、向こうの言い分に興奮してしまったんさ・・・」

反省しているようだったので、これ以上の追及は止めておいてやることにした。

(*゚ -゚)「まぁ、いいわ」

( ^Д^)「そこでストップ! そっからスタートっす!」

スタートフラッグを掲げた阿呆が目に入る。

('A`)「あの旗が降りたらスタートだっ!」

隣には、熱血阿呆がいる。

ごてごてした装飾の無い、黒いバイクに跨っている。

走ることだけを考えている風なバイクに見えた。

(十)「おーい、上に言った奴らから連絡来たぞ」

( ^Д^)「ようし、はじめまっす!」

(*;゚∀゚)「頼むんさ。 勝ってくれなんさ」

気弱な声がポケットから届く。 あのシマリスらしくない風だ。


416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:38:15.54 ID:lNZyOLS70

('A`)「よし、合図を掛けろ!」

熱血阿呆のバイクが一際大きな音を立てた。

うるさい。

(*゚ -゚)「ふぅ」

私もエンジンを吹かし、スタートのタイミングを計った。

( ^Д^)「3・・・! 2・・・! 1・・・!」

スタートコールが始まった。

私はポケットのシマリスに一言、

(*゚ -゚)「勝つわ」

とだけ言った。


先にある旗が振り下ろされる。

同時に、私の赤いバイクと、もう一つの黒いバイクが一斉に飛び出した。




418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:39:23.93 ID:lNZyOLS70

( `ー´)「もう直ぐ来るかな?」

爪゚ー゚)「ああ、ドクオさんなら直ぐ来るさ!」

( `ー´)「あっ、あのシルエットはドクオさんだ!」

爪゚ー゚)「ひゅー、やっぱドクオさんは速いぜ!」

( `ー´)「ああ、あの人は公道レース界じゃ・・・」

爪゚ー゚)「『漆黒の闇騎士』と呼ばれている人だもんな!」

( `ー´)「ん?」

爪゚ー゚)「どうした?」

(;`ー´)「ライトの数が、多い・・・」

爪;゚ー゚)「えっ、まさか・・・」




420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:40:38.60 ID:lNZyOLS70

峠の頂上に全速で進入。

先を行く判定者の二人での前で、車体を滑らせつつ急反転。

登りの次は下りだ。

元来た道を突き抜ける。

('A`;)「くっ・・・」

私の前には熱血阿呆が走っている。

故意に先行させたので、初めての道でもライン取りは容易かった。

熱血阿呆は流石に中々な腕前だ。

しかし、下りに差し掛かっても、中々振り切れないので焦ってる風である。

車体の揺れが、やや大きい。

(*゚ -゚)「さてと」

下りは、既に見た道。

抑えることもないだろう。

(*゚ -゚)「飛ばす」


424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:42:42.24 ID:lNZyOLS70

勝負を仕掛けるのは最終コーナーだ。

そこまでは距離を縮めるだけでいい。

見たところ、先行車はコーナー立ち上がりの加速にロスをしている。

加えて、曲がる時に膨らむという特徴もあった。

そこを突けば、抜くのは簡単なことだ。

(*゚ -゚)「身の程知らずの雑魚レーサーね」

レースとは下手したら死ぬ勝負なのだから、命知らずの雑魚レーサーといった方が正確だろうか。


速度を上げた私に対して先行車が動きを見せた。

必死に抜かれまいとブロックをしてきたのだ。

熱血阿呆にも面子があるのだろう。

しかし、

(*゚ -゚)「姑息だわ」

もし、走行中でも声が聞こえるのであれば、言ってやりたかった。

(*゚ -゚)「突き放せないの?」




 
426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:44:26.83 ID:lNZyOLS70


最終コーナーが見えた。

ここが勝負所だ。

相手も今まで以上に速度を上げてくる。

しかし、それで限界一杯だろう。

そして、残念ながら最大の力を出せば出すほど癖が出る。

体重移動、ギアチェンジ、アクセルの絞り方の関係でだ。

速かろうが遅かろうが走行法による不可避の宿命。

それが技量というものだ。

(*゚ -゚)「抜く」

予想通りにコーナーで外に逸れた先行車の合間を

(*゚ -゚)「これで、お仕舞いね」

私は滑らかに抜き去った。


427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:45:56.64 ID:lNZyOLS70

コーナーの後のロングストレート。

(;十)「――っ!?」

(;^Д^)「馬鹿なっ!?」

ゴール地点では、旗を持った男と別の一人が驚愕の表情をしていた。

その脇を、私は速度を落とさずに飛ばしていった。


走り去る途中、一度だけ熱血阿呆を振り返ってやった。

(*゚ー゚)「・・・」

無言で、敗北を突きつけてやるために。


(*゚∀゚)「凄いんさ! 勝ったんさ!」

ポケットからシマリスが声を掛けてきた。

(*゚ー゚)「勝つって言ったでしょ、チュウ兵衛?」

(*゚∀゚)「ツー兵衛?」

シマリスは、きょとんとしていた。


429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:47:24.51 ID:lNZyOLS70

その後、シマリスに礼を言われて別れた後、

(*;゚ -゚)「はぁ、はぁ・・・」

私はガス欠のバイクを押して歩いていた。


勝負で熱血阿呆を先行させたのは、

少しでも風除けにして、燃料を節約するためでもあったのだ。

(*;゚ -゚)「重い、疲れた・・・」

しかしだ、バイクから手を離す気にはならなかった。

仕事では何度も何度も走ってきたけれど、

ああいう風に勝敗を競って走ったのは初めてだった。

負けっぱなしの人生だったから解らなかったけど、

(*゚ー゚)「勝つのって、楽しいじゃない」

自然と口にしていた。

それは素直な気持ちだった。



433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:48:32.49 ID:lNZyOLS70

仕事で培った荷を崩さないための正確な体重移動。

無感動、無関心から来る、大胆さで高速を恐れない心。

加えて、女子の小柄さ故の低体重。

(*゚ー゚)「勝負にいけるんじゃないかしら?」

そういえば、あの変な店員がレースがどうとか話していた気がする。

今は、それに挑戦してみたい気持ちで一杯だ。

父はレーサーではなかったが、確かにバイク乗りだった。

やはり、血は争えないのだろう。

(*;゚ -゚)「まぁ、何にせよ、無事に家に帰れたらってことで・・・」

まだまだ、街までは距離があり、給油も出来やしない。

・・・今夜は長くなりそうだ。


434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:49:54.09 ID:lNZyOLS70

('A`)「ふっ、俺が敗れるとはな」

('A`)「世間は広いze・・・」

爪;゚ー゚)「ドクオさん! どうするんすか!」

('A`)「約束通り、今後ここでは走らない」

(;`ー´)「じゃあ、どうするんすか!?」

('A`)「公道レースは引退、次はサーキットで勝負だ!」

(十)「ドクオさん! 俺達も付いていきますよ!」

( ^Д^)「次は、『サーキットの闇騎士』っすね!」

('A`)「お前ら、ありがとよ! 多分、あの女はサーキットで走ってる奴だ」

('A`)「そうでなきゃあ、言動と技術が一致しないぜ」

爪゚ー゚)「でも、何者なんですかね?」

('A`)「名前も名乗らなかったし、乗ってるバイク位しか解らんな」

( ^Д^)「そうだ、名前と言えば、俺、あの娘の『通り名』考えたっすよ!」

('A`;)「・・・はあっ?」


435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/10(月) 15:51:04.42 ID:lNZyOLS70

お題

死にかけのシマリス
命知らずの雑魚レーサー
消毒液飲み過ぎて死んだ親父

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