不思議な猫のようです


218以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:20:50 ID:gpTlsyx20



( ФωФ)不思議な猫のようですlw´‐ _‐ノv

219以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:21:59 ID:gpTlsyx20


lw´‐ _‐ノv「ねえロマ」

( ФωФ)「なーお」

lw´‐ _‐ノv「何も上手くいかないね」

lw´‐ _‐ノv「もっと、上手くいけば良いのに」

( ФωФ)「なーお」

lw´‐ _‐ノv「私も、お姉ちゃんみたいになれれば良いのに」

lw´‐ _‐ノv「……ロマに言っても仕方ないか」

少女はごろりと畳の上に寝転んだ。

( ФωФ)「なーお」

黒い猫が鳴いている。
その泣き声は子守唄を歌うようで、少女の眠りを誘う。

( ФωФ)「なーお……」

そのまま少女は眠りへ落ちた。

――



221以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:22:58 ID:gpTlsyx20
lw´‐ _‐ノv「んー?」

気がつくとおかしな場所に居た。

lw´‐ _‐ノv「確か寝てた気がするのに」

私が眠ったのは畳の匂いがする和室。
こんなに殺風景な白い部屋ではない。

lw´‐ _‐ノv「……夢か」

私はこの状態を夢だと判断した。
眠ったはずなのに知らない場所にいるとはそう考えるしかない。

lw´‐ _‐ノv「何をしよう」

夢だと分かってしまえば恐れることはない。
自分のやりたいことをすればよいのだ。

222以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:24:05 ID:gpTlsyx20
lw´‐ _‐ノv「あ、ルービックキューブ」

そう呟くと手の中にはルービックキューブがあった。
いつもお姉ちゃんがやっていた。
お姉ちゃんにはすぐ解けるのに、私は完成したためしがない。
さっそく解こうとしてみる。

lw´‐ _‐ノv「……クリアしたことないのに」

なぜかすらすらと解けてしまう。
適当にぐちゃぐちゃと動かしているだけでも、あっさりと元の状態に戻ってしまった。

lw´‐ _‐ノv「飽きた」

簡単に解けてしまう問題など面白くない。

223以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:25:07 ID:gpTlsyx20
lw´‐ _‐ノv「絵を描こう」

先ほどと同じようにスケッチブックと鉛筆が現れた。
私は絵を描くことが好きだ。
もともとはお姉ちゃんに影響を受けたことだけど。

lw´‐ _‐ノv「ふーんふーん……」

紙の上に鉛筆を走らせる。

lw´‐ _‐ノv「……」

思ったままに描けた。
しかし、本当に思ったままなのだ。
頭の中にあるものがそのまま紙に写し出される。
自分で描いた絵のはずなのに、自分の絵ではない感覚。

lw´‐ _‐ノv「……」

無言のままに私は鉛筆を投げた。
からん、と軽い音がして鉛筆は消えてしまった。

224以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:26:02 ID:gpTlsyx20
lw´‐ _‐ノv「つまらない」

白く何もない世界。
何事も思うままになってしまうこの世界。

lw´‐ _‐ノv「夢の中だからか」

私でもお姉ちゃんのようになれる世界。
私が、私でなくなる世界。

lw´‐ _‐ノv「……寂しいなあ」

ちょっとくらい出来ないことがあったほうが楽しいのかもしれない。

lw´‐ _‐ノv「そろそろ起きたいなあ」

――

225以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:26:49 ID:gpTlsyx20
( ФωФ)「なーお」

黒猫がまた鳴き始める。
少女の眠りを覚ますように。

lw´‐ _‐ノv「んー……ロマ?」

( ФωФ)「なーお」

lw´‐ _‐ノv「起こしてくれたのか、そかそか」

起き上がった少女は黒猫の頭を優しく撫でる。

( ФωФ)「なーお」

その手に頭を擦り付けるように猫が動く。

lw´‐ _‐ノv「……ちょっとだけ頑張ってみるよ」

( ФωФ)「なーお」

lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃんにはなれなくても、私は私になれるから」


おわり

226以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:27:54 ID:gpTlsyx20
俺は、シュールが大好きです。
よし、続いていくよー



(*‘ω‘ *)不思議な猫のようです( ><)( <●><●>)

227以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:28:52 ID:gpTlsyx20
(;><)「うわわわああああ!!!!!」

( <●><●>)「どうしたんですか騒々しい」

(;><)「ちゃんとこっちを見るんです!!」

( <●><●>)「私は読書中です」

(;><)「ちょっとで良いから見るんです!」

(;<●><●>)「……どうしたんで……はい?」

(;><)「耳、耳が……」

( <●><●>)「見事に猫ですね」

(;><)「それは分かってます!!」

( <●><●>)「慌ててもどうにもなりません」

( ><)「どうすればいいかわかんないんです……」

( <●><●>)「どうしてそうなったんですか?」

( ><)「ぽぽちゃんとお昼寝してて目が覚めたら……」



229以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:29:45 ID:gpTlsyx20
( <●><●>)「ぽっぽが怪しいですね」

( ><)「ぽぽちゃんですか?」

( <●><●>)「というか元の飼い主が怪しげなので……」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!!」

( <●><●>)「うわさをすればなんとやら……」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

(;><)「逃げたんです!」

(;<●><●>)「待ちなさい!!」

231以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:30:49 ID:gpTlsyx20


(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

(;><)「い、痛いんです……」

( <●><●>)「だらしない……ぽっぽも大人しくしなさい!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

(#<●><●>)「暴れない!」

( ><)「お母さんみたいなんです……」

( <●><●>)「何か言いましたか?」

(;><)「なんでもないんです!」

( ><)「ってどこに行くんですか?」

( <●><●>)「決まってるでしょう」

( <●><●>)「元の飼い主のところです」

――

232以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:31:50 ID:gpTlsyx20
( ・∀・)「おー、ワカじゃないか」

( <●><●>)「お久しぶりです」

( ・∀・)「ん? そこのちびっこいのは?」

( <●><●>)「このちびっこいのは親戚のビロードです」

(;><)「ち、ちびっこくないんです!」

( ・∀・)「まあそこは置いといて、珍しいね」

( <●><●>)「ぽっぽのことです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

233以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:33:05 ID:gpTlsyx20
( ・∀・)「ぽっぽがどうかしたの?」

( <●><●>)「ほらビロード、帽子をとってください」

( ><)「はいです」

( ・∀・)「えー……ワカってショタコンだったの?」

( <●><●>)「違います、この耳は生えてるんです」

( ・∀・)「うんそうかはいはい、じゃあ二人のお邪魔はしないから帰って」

(#<●><●>)「モララー!」

( ・∀・)「冗談だよー」

234以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:34:49 ID:gpTlsyx20
( <●><●>)「解決法わかりますか?」

( ・∀・)「うん」

(;><)「わかるんですか?!

( ・∀・)「ほっとけば治るよ」

( ・∀・)「なんかぽっぽと寝てると、たまにこうなるんだよね」

( <●><●>)「本当、ですか?」

( ・∀・)「疑わないでよー僕も被害受けてたしさ」

( <●><●>)「……まあ信じましょう」

( ・∀・)「まあって……」

235以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:35:50 ID:gpTlsyx20
( <●><●>)「教えてくれてありがとうございました」

( <●><●>)「ほらビロードも」

( ><)「ありがとうです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( ・∀・)「どういたしましてー」

( <●><●>)「じゃあ、帰ります」

( ><)「さよならなんです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( ・∀・)「ばいばーい」

――

236以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:36:49 ID:gpTlsyx20
( <●><●>)「治るそうですね」

( ><)「よかったんです」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( <●><●>)「これからはぽっぽと一緒に寝れませんね」

( ><)「ぽぽちゃんと寝れないんですか?」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ……」

( <●><●>)「……あまり、被害を出さないでくださいね」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!!」

(*><)「ぽぽちゃんと寝れるんです!」

( <―><―>)「……私も甘いですね……」


おわり



238以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:37:55 ID:gpTlsyx20
猫と一緒に寝るのは至福
つぎ最後!



(#゚;;-゚)不思議な猫のようです( ・∀・)

239以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:38:47 ID:gpTlsyx20
( ・∀・)「さっきぽっぽが悪戯したってさ」

薄暗い部屋で青年が呟く。

( ・∀・)「それにロマもなんかやったみたい」

青年の言葉に少女が小さく震える。

(#゚;;-゚)「私の、子ども、なにか、やったの?」

小さく笑いながら青年は言う。

( ・∀・)「ん? ああ、心配しなくて良いよ」

(#゚;;-゚)「どうして?」

240以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:39:50 ID:gpTlsyx20
( ・∀・)「ぽっぽがやったのはちょっとした悪戯だし、ロマはご主人様のためだ」

(#゚;;-゚)「悪戯は、悪いこと」

少女は顔をしかめながら言った。

( ・∀・)「……真面目だね」

(#゚;;-゚)「悪いことは、だめ」

青年の目を見据えながら少女はさらに言った。

( ・∀・)「悪くない悪戯もあるものだよ」

(#゚;;-゚)「悪くない、悪戯?」

241以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:41:11 ID:gpTlsyx20
( ・∀・)「うん。たとえばさ、君がこの風鈴を落とす」

近くにぶら下がっていた風鈴を指差しながら青年は言った。

(#゚;;-゚)「私は、やらない」

少女は小さく首を横に振る。

( ・∀・)「たとえばだよ。で、今のは君の悪戯だ」

青年は少女に向かって楽しそうに話す。

( ・∀・)「でも悪戯なんてしない君が突然そんなことをやったらどうなると思う?」

242以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:42:13 ID:gpTlsyx20
(#゚;;-゚)「怒る」

( ・∀・)「怒らないって」

( ・∀・)「というか僕そんなに信用ないの?」

(#゚;;-゚)「……」

( ・∀・)「無言怖い」

( ・∀・)「……まあ、僕はね『構って欲しいのかな?』とか『風鈴ってたまにうるさいよね!』とか考えるわけだ」

(#゚;;-゚)「……」

( ・∀・)「そうしたら、僕は君に構ってあげたくなるし、君の事を凄く愛おしく思う」

243以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:43:19 ID:gpTlsyx20
(#゚;;-゚)「それが、どうしたの?」

少女が首を傾げる。

( ・∀・)「それだけで十分だよ」

青年はくしゃり、と少女の頭を撫でる。

( ・∀・)「人間は変化を求める動物だからさ、ちょっと違うことが起こると不思議に思う」

( ・∀・)「それが楽しいんだよ」

(#゚;;-゚)「そうなの?」

( ・∀・)「そうだよ」

244以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:44:11 ID:gpTlsyx20


ぶら下がった風船が、チリチリと小さく鳴っている。

(#゚;;-゚)「……」

少女はその風鈴をじっと見つめている。

( ・∀・)「……? どうしたの?」

青年が疑問に思い、口を開いた瞬間。

(#゚;;-゚)「……」

少女が風鈴を叩き落した。

245以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/05/04(火) 18:45:06 ID:gpTlsyx20

(#゚;;-゚)「……構って」

(*・∀・)「……ああもう!! 可愛いなあああ!!!」

青年はすばやい動きで少女を抱きしめ、頭をぐりぐりと撫でる。

(#゚;;-゚)「苦しい」

( ・∀・)「あ、ごめん……」

苦しさを訴えた少女にすぐさま謝る青年。

(#゚;;-゚)「でも、嬉しい」

青年は猫のような少女――否、少女の姿をした猫を再び抱きしめ、小さく呟く。

(*・∀・)「……なんなのこの子めちゃくちゃ可愛い」

と。


おわり


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